メルマガに掲載されていたメッセージですが、掲載許可をいただきましたので、ご紹介します。
【NICe会員限定レター】── 増田通信 第285号
NICe代表理事・増田紀彦が、
正会員・協力会員・賛助会員、公式サポーターと寄付をしてくださった皆様に、
感謝と連帯を込めて送る、「ふ~ん なるほどねえ」マガジン!
文庫本の魅力は、廉価であること、ポータブルであること。
でも、それらに負けず劣らずの特典が「解説」だ。
新作の小説には無垢の味わいがある。
半面、文庫化された小説には、読者に揉まれて熟成した魅力がある。
その無数の読者を代表して、作品の味わい方を語るのが解説の役割だ。
ところが!
なんと、新作の段階で、すでに解説が収録されている小説に出くわした。
いとうかよこ著『週2だけど正社員です!』。
ご存じの方も多いと思うが、週2(勤務)正社員制度は、
福岡県のNICe協力会員・平井良明さんが提案する、
企業と働き手と周囲の人々の幸せをまとめて追求する仕組みだ。
すでに、昨年3月に平井さんは『週2正社員のススメ』を上梓している。
続けて同年11月に刊行された、『週2だけど正社員です!』は、
その小説版とも言うべき位置づけだが、
もともとの本の内容や週2正社員の概要を知らなくても、
十二分に楽しめる作品になっているのが、この小説版。
本編には、老若男女問わず、
「今」と「これから」を、どう生きることが、
より良い選択なのかを真摯に探るキャラクターが多数登場する。
そのキャラたちが縦横無尽につながっていく展開が面白い。
また、軽妙な表現が随所にちりばめられており、
真剣な話題を追って、ついつい根を詰めすぎた読者の肩の力を、
そっと抜いてくれる親切さも素敵だ。
小説自体にかかわる話はこれくらいにして、
この本の特徴である新刊なのに解説について紹介したい。
本書では解説と言わず、『あとがき的な対談』と題している。
タイトルどおり、
週2正社員の仕掛人の平井さんと、小説著者のいとうさんが、
軽妙洒脱なやりとりを繰り広げながら、
読者の興味関心に過不足なく答えてくれていて、
解説として、見事に成立している。
そもそも平井さんが、なぜ週2正社員制度に行き着いたのか、
いとうさんが、どのような手法で小説を書き上げたのかなど、
この一冊の根幹にかかわるところが、簡潔かつ丁寧に論じられていて、
あらゆる意味で勉強になるのである。
いつものことながら、
いい解説を読むと、本編をもう一度読みたくなるものだ。
かくして、私はすでに二度目のお楽しみに興じている。
二度目なので、今度は気に入った箇所に、
2Bのシャープペンでアンダーラインを引きながら読んでいる。
平井さんの「熱情」が、いとうさんの「情熱」を借りて、
ジワジワと私の中に染み渡っていくさまを、ただいま絶賛実感中である。
「週2正社員」の詳細は、以下のページで。
https://www.shu2.jp/
──▼─────────────────────────────────
<最近の発見> あまり、やや、多少、どちらかと言えば……
──▼─────────────────────────────────
いろいろなアンケートの結果を見てみると、
「そう思う」や「そう思わない」と、強く考えている人よりも、
「ややそう思う」とか「あまりそう思わない」などの、
中間的な回答をする人のほうが多い印象だ。
思うにせよ思わないにせよ、
あるいは良いにせよ悪いにせよ、
日本人の多くは、両極端に振れることを好まないのかもしれない。
ということは、中間的な人々を狙った市場開拓こそが、
日本では有効なのだと、あらためて気づいた。
外食ではないが、自宅ですべてを調理する内食でもない、
いわゆる「中食」商品市場も成長の一方だ。
サプリメントも、病人ではないが、
健康に不安がないわけでもない人を狙っている。
いわゆるイージーオーダー製品も、中間市場狙い。
そう考えると、冒頭で紹介した「週2正社員」も中間市場だ。
独立してフリーランサーや起業家になるわけではないが、
連日決まった時間に決まった場所で勤務する会社員でもない。
「週2正社員」、今はまだ小さなうねりだが、
日本人の志向からすると、やがては大きな市場になるかもしれない。
大変嬉しいお褒めの言葉ありがとうございます。
すこしでも、私達の思いが届いて嬉しい限りです。
また、あとがきは購入しなくても、いつでも全文読めますので、こちらからご覧ください。
小説週2正社員のススメ「週2だけど正社員です!」のあとがき 全文公開中